龍王ウロボロス

ウロボロス【出身地:ギリシア】

 自らの尾をくわえた姿で表される龍、あるいは蛇。「完全」や「永遠」の象徴とされる。

 もともとウロボロスは古代ギリシアで世界を囲むとされた巨大な蛇であったが、その奇妙な姿から、完全・不死・永遠・世界・叡智など様々な象徴的意味を獲得し、ついには自身すらも象徴的な存在となった。数学で使われる無限大の記号「∞」も、ウロボロスのイメージから作られたと言われる。

龍王ヤマタノオロチ

ヤマタノオロチ【出身地:日本】

 日本神話に登場する大蛇で、元々は水神として崇められていた。八つの谷と八つの山を覆うほどの大きな身体には、苔むし桧や杉が生い茂り、樅の芽吹いた八つの頭と八つの尾がある。目はほおずきのように赤く、真っ赤にただれた腹からは血が流れ出ているという。

 高志の国で毎年娘を生贄を要求していたが、スサノヲによって退治された。スサノヲは櫛名田比売(くしなだひめ)を櫛に変えて髪に差し、オロチの好物である酒がなみなみと注がれた甕を八つ用意して待ち構えた。そしてオロチが酒を飲み干して酔いつぶれたところを見計らって、すべての首を斬り落としたのだ。スサノヲはオロチの体内から「天叢雲」を手に入れる。のちに倭建命(やまとたけるのみこと)が使い、「草薙の剣」と呼ばれる剣である。

龍王ナーガラジャ

ナーガラジャ【出身地:インド】

 蛇神ナーガの王たちのこと。二本の手足を持つ蛇の姿や、人間の上半身を持つ半人半蛇の姿で表される。中には見事な翼を背に持つものもあり、美しい。いずれも並のナーガより強力な力を持つ。

 ナーガラジャたちの中でも著名な者としては、ナーガたちの母神カーリヤ、その息子であり千の頭とあらゆる魔法の源泉である如意宝珠を持つシェーシャ、神々とアスラが戦っていた時代から大地を支えているという邪龍ヴァスキなどである。ナーガはイラン沿岸からインド、東南アジア、さらに中国から日本に至る広範囲に住む龍族である。古代日本でも蛇をナガと呼んだ。

龍王オトヒメ

オトヒメ【出身地:日本】

 海の神である大綿津見神(おおわたつみのかみ)の娘である豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)のこと。兄の海幸彦の無くした釣り針を探しに海の神の宮殿を訪れた天津神の山幸彦こと日子火火出見命(ひこほほでみのみこと)に見初められて結婚した。

 三年間の間、二人は睦まじくワダツミの国で暮らしたが、山幸彦は兄の釣り針を返しに地上へ帰っていった。釣り針に込められた呪いと海神の助けにより、山幸彦の国は豊かになり、海幸彦の国は貧しくなった。貧した海幸彦は弟の国を攻めるが、潮満珠で懲らしめられ、山幸彦の軍門に降った。海の民隼人が、筑紫朝廷に隷属するさまを表した神話である。

 出産のさいに豊玉毘売命は山幸彦に「決して子供を産んでいるところを見てはならない」と忠告したが、山幸彦は好奇心に耐えかねて覗いたところ、豊玉毘売命は本来の姿である大きな八尋鰐(やひろわに)と化したので、山幸彦は驚いて逃げ出してしまったという逸話がある。

龍王ミズチ

ミズチ【出身地:日本】

 語源は「水の神」という日本語の古語だ。中国では蛟(こう)と呼ばれ、それが日本に伝来したという。なお、蛟は「みずち」とも読む。

 水を司る蛇神で、首の周りには青い斑点がある。身体の横側は錦のような五色の光沢に彩られていて、尾の先には硬いコブがある。姿も役割も龍によく似ている。湖や池や河などの淡水に棲み泳ぐ生き物たちの支配者であり、2600匹の魚が棲みついている池にはどこからともなくミズチがやって来て、主となるとも言われている。

龍王ナーガ

ナーガ【出身地:インド】

 インドの蛇神。女性のナーガはナーギニーと呼ばれ、皆大変美しく、賢いと言われている。生と死の両面を司っており、敵を一撃で倒すことのできる猛毒と、体に受けたどんな傷も癒すことのできる不死身の力を持っている。また蛇の神に相応しく、誰にも気付かれずに不意打ちをすることもできる。

 インドの七層に分かれている地下世界のうち最下層であるパーターラに住みつき、彼らの持つ世界最高の宝石の数々で、地下世界を照らしているという。カンボジアのアンコールワット遺跡はナーガの遺跡と呼ばれるように、ナーガの彫像が多数あり、ナーガ信仰が篤かったことが偲ばれる。

龍王ノズチ

ノズチ【出身地:日本】

 野槌。柄の取れた槌のような形をした太い蛇で、ツチノコの姿に近い。頭の先から尾の先まで同じ太さで、身体全体の端は平たくなっており、頭の方の端には裂け目のような大きな口がついている。山に棲んでいると言われ、木の陰や藪の中に潜んでいるという。その気性は荒く、人間を見ると噛みついて危害を加えようと追って来る。横になって転がりながら追って来るために動きは速い。

 凶暴な怪物としての性質が強調されるようになっているが、元々は神であり、日本の古語では「野の神」の意味であって、元来は地脈を司る精霊である。またイザナギとイザナミの子供たちの一人、野の神「鹿屋野比売神(かやのひめ)」であったとされる説もある。

龍王ヤトノカミ

ヤトノカミ【出身地:日本】

 『常陸風土記』に記された、角の生えた蛇神。「夜刀神」と書く。

 ヤトノカミは谷や沢、葦原などの湿地に棲むと伝えられる蛇神で、その土地が荒らされそうになると姿を現して災いをなしたとされる。その姿を見た一族は、破滅に陥り滅んでしまうとも言われた。このヤトノカミ伝説は、大和朝廷が権力を拡大するときに起こった異部族との抗争に端を発しているようである。